こんにちは。観葉植物のグリーンテック グリーンコーディネーターの大川です。
ようやく気温が落ち着き…と書きたいのですが、 驚いたことに11月に入ってもまだ暑いですね。 このあと急に寒さがやってくるのでしょうか?
異常気象の中でも、植物たちは季節を鋭敏に感じ取って、 花や実を結びます。
お世話をしているこちらが驚いたり、 労うような気持ちになることが、しばしばあります。
私は今年度に入ってから、とあるお客様のところで 地植えのバラの管理をさせて頂いています。
品種は「ピース」。
バラ好きの方であれば説明の必要が無いような、 文字通り20世紀を代表する銘花でしょう。

「ピース」。猛暑にやられ、やや花が小さい
花弁の先は柔らかいピンク、花の中心部はクリーム色に咲き分ける巨大輪。
戦後に新品種として発表されるまでのいきさつは、極めてドラマチックなものです。
1935年にフランス・メイアン社で作出されたものの、ナチスドイツの侵攻の為、アメリカへ苗木が避難。
その後ベルリンが陥落した1945年4月29日に、アメリカから「ピース」の名で発表されました。
後の国連の創立総会となるサンフランシスコ連合国全体会議において、参加国のホテル各室には以下のメッセージとともにピースが飾られたといいます。
これは、ベルリン陥落の日にカリフォルニア州パサディナで開催された太平洋バラ協会展で、〈ピース〉と命名されたバラです。〈ピース〉が、人の心にとこしえの世界平和をもたらしてくれますように。(1)
2023年の今年、バラは異常気象に晒されて、ややお疲れ気味です。それでも、10月のメンテナンス時には枝先に咲いた大きな花で迎えてくれました。
花には、時として想像を超えるような歴史や事実が隠されていることが、しばしばあります。
来年も、そのまた次の年も、いつまでも美しい花が見られるように。次回もメンテナンスを頑張ります。
(1)参考文献および出典
最相葉月『青いバラ』岩波現代文庫、2014(岩波書店)